施政方針

更新日:2023年04月01日

   桜の満開に風景も心も華やぐ中で、新年度を迎えました。

春の芽吹きの勢いとともに、私たちの社会もまた強く根を張り、前進していくことを心から期待しています。

   さて、日本国内では、新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、さまざまなイベントや経済活動も活発化し、コロナ禍前に戻りつつあります。しかし、不安定な世界情勢や円安による物価高騰は、私たちの暮らしにも影響を及ぼしています。

   また、人口減少や少子化・高齢化の加速、ジェンダー平等、脱炭素の実現、毎年発生する大規模な自然災害への対応など、人々の価値観は刻々と変化し、社会課題への対応は多様化、複雑化しています。

   そのような中、西日本新聞朝刊(2024年2月12日)において、厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所が公表した2050年の生産年齢人口推計が詳しく掲載されました。25年後の日本では、全市区町村の4割で生産年齢人口が半減すると予測されており、増加が見込まれる自治体は、千葉県や東京都に集中した19の自治体でした。久山町は、全国第16位で2020年に比べて1.5%増加の見込みとなっていました。増加する19の自治体の中で、鉄道駅がなく、急激な人口流入を抑制してきた自治体は、本町以外にありません。

   このことは、未来に向けたまちづくりの1つの可能性を示していると捉えています。

   また、この町で暮らすこと、訪れることで得られる「幸福感」を大切にしたまちづくりを展開することで、さらなる発展と持続性を高められる時とも捉えています。第4次久山町総合計画(令和4年3月策定)に掲げた将来像「だれもが生き生きと暮らせる『健康田園都市』の実現」を目指して、これまで以上に小さな町の強みを生かした政策展開に力を入れていきます。

   令和5年度は、物価高騰対策に取り組みながら、日々の暮らしの環境改善や暮らしの充実感を得られる事業に取り組んできました。

   物価高騰対策としては、ごみ袋の配布や給食費の支援、高校生の通学定期補助、水稲農業支援などを行い、暮らしの環境整備としては、学校橋の復旧工事をはじめ、町内の通学路の安全と生活基盤の確保に努めました。各種申請のオンライン化、キャッシュレス決済への対応、議会の動画配信も開始しました。

   教育分野では、山田小学校校舎の大規模改修事業を終了し、久山中学校図書館リニューアル事業が2年目を終えました。新規事業としましては、小・中学校の児童・生徒が使用するタブレットにプログラミングアプリを導入し、授業の中で活用が進んでいます。

   一般会計における財政の状況としては、ふるさと応援寄附金の返礼品の内容や広報に力を入れることで前年度から約1億4,000万円の歳入増加を見込んでおり、各種基金には3億4,000万円程度の積み立てを行う予定です。

   第4次久山町総合計画の3年目を迎える令和6年度は、人口や高齢化率、財政力などの数値の結果だけでなく、本町のまちづくりの価値観に対する評価も踏まえ、これまで以上に暮らしの豊かさやウェルビーイングの高い町を目指していきます。

   住むことや訪れることで得られる幸福感は、他の自治体との差別化と競争力を生み出し、未来に向けた原動力になります。その実現に向けて、今後は住む、食べる、学ぶ、働く、遊ぶというまちづくりの5つの要素を軸に、本町の強みである自然の恵みを生かしながら、人や物の「つながり」を深め、好循環を生み出していくことが重要だと捉えています。

   令和6年度の当初予算は、引き続き物価高騰対策を図りながら、暮らしの豊かさを実感できる「つながり」を意識した予算編成を行いました。

   一般会計予算は、歳入歳出予算の総額を63億7,700万円とし、令和5年度より4億900万円、6.9%の増加となっています。固定資産税や町民税などの税収において若干の歳入増額を見込んでおり、毎年増加しているふるさと応援寄附金も増額で計上しています。国県支出金等の活用に加え、町の基金も活用しながら、物価高騰対策および投資的事業を同時に展開していきます。

   令和6年度の主な事業を総合計画に挙げる分野ごとにご紹介します。

   健康福祉分野では、子育てつながるプロジェクト事業を引き続き実施し、シニアチャレンジ応援事業は拡充して映画やカラオケだけでなく、飲食店でもクーポンが利用できるようにします。新規事業としては、健康維持に大切な笑いを提供するシニアスマイル講演会を計画しています。さらに、子育て世代に向けた新規事業として、絵本の読み聞かせを通じて保護者、小・中学生、地域のつながりを深めることを目的にひさやまブックツリー事業を福祉課、健康課、教育課の3課連携でスタートします。また、子ども家庭センターの設置も行い、町民の皆さまが相談しやすい体制づくりに努めてまいります。

   教育分野では、3年目を迎える久山中学校図書館リニューアル事業のほか、山田小学校体育館天井などの施設改修を実施するとともに、久山会館や久山中学校体育館、町民体育センターの空調整備を実施します。

   産業分野では、プレミアム付き商品券事業や電子決済導入支援事業などを引き続き行います。また、昨年度売却したJ-クレジットを林業従事者に還元するために、林業経営体活動助成金を交付し、林業維持を支援します。

   暮らし分野では、高橋~原線、古賀ノ脇線、山田~久原1号線の舗装改修や橋梁等の整備のほか、フォレストロードの整備を行います。また、大雨災害に備えた全町的な防災訓練を6月に実施する予定です。

   地域経営分野では、自治体DXを加速させ、住民の皆さまの利便性を図るために、システムの標準化や戸籍情報システムの整備を進めていきます。

   物価高騰対策支援としましては、引き続き、ごみ袋の全世帯配布を行います。学校給食費の補助については、本年度の値上げ額に合わせて補助額を増額し、保護者の負担額が1食当たり270円で維持されるように支援します。農家への水稲農業物価高騰対策支援は、補助率を前年より5%引き上げ、30%補助で支援します。

   以上が、令和6年度の主な一般会計予算の概要です。今年度も社会情勢や経済動向を注視し、状況に応じて物価高騰対策支援等を柔軟に行っていきます。

   本町は近年、国や他自治体、企業、団体、メディアなど、多方面から今と未来に向けたまちづくりに注目をいただき、全国的な認知度が高まっています。

   久山町の豊かさを次世代につないでいくため、今こそ、新たな交流を生み出し、時代の変化に即した「つながり」の再編に町民の皆さまと共に挑戦してまいる所存です。

   引き続き、皆さまのご支援とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。

令和6年4月1日 久山町長 西村 勝

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