施政方針

更新日:2023年04月01日

新年度のスタートと桜満開の時期がぴったり重なった今年の4月です。厳しい情勢を乗り越え、桜のように私たちの社会がこれから強く、大きな花を咲かせていくことを心から期待しています。

さて、およそ3年間続いた、新型コロナウイルス感染症対策は、大きく緩和され、いよいよ「新しい時代」へ舵が切られます。5月8日から、現在の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」への移行が決まり、マスクに関しては、今月の13日から着用の有無を個人の判断に委ねることとなりました。いよいよアフターコロナに向けた動きが活発になってきます。今後も社会、経済動向を踏まえ、新たな価値観の変化に迅速に対応してまいります。

令和4年度を振り返ってみますと、コロナおよび物価高騰対策など、喫緊の課題に取り組んでまいりました。そして、第4次総合計画の初年度として、町の発展に向けて基盤強化を実施し、当初の目標である『生活環境』『健康・福祉』『教育と産業』の三つの分野の充実を図ることができました。
具体的にはまず、『生活環境の充実』については、一昨年8月に発生した記録的豪雨により損壊した「学校橋の復旧工事」は、現在、下部工に着手し、来年度の完全復旧を目指して進めている状況です。また、「山田~久原1号線舗装打ち替え工事」をはじめ、町民の皆さまの生活基盤の確保につながる道路等の整備を予定どおり実施できました。
次に、『健康福祉の充実』についてです。コロナ禍における「高齢者の外出促進支援」として、「イコバスの日」、利用助成事業に取り組み、1月までに151名の方にご利用いただきました。「シニアチャレンジ応援事業」では、各行政区でスマートフォン教室を実施し、延べ182名の町民の皆さんにご参加いただき、コロナ禍における高齢者の皆さまの楽しみや挑戦のきっかけを提供することができました。
最後に、『教育産業の充実』についてです。山田小学校大規模改修工事では、体育館と給食室・職員室棟の防水工事および壁面改修工事を終了しました。また、中学校の体育倉庫解体撤去や両小学校給食室の空調設置等整備を完了するなど、長年着手できていなかった教育施設の改修等を行い、子どもたちの学びの環境の充実を図ることができました。
ソフト面においては、社会で活躍できる人材の育成を目指して、「ひさやまてらこや⁺(Plus)」を開講し、延べ39名の子どもたちに、新たな学びを提供することができました。
また、3カ年計画の初年度である「中学校図書館リニューアルプロジェクト」では、中学生の実行委員会によって、全体構想の作成およびデッキづくりに着手し、フィンランド図書館との交流なども行いました。さらに、「町民図書館への電子図書の導入」を図り1,200冊の電子図書を町民の皆さまに提供することもできました。
産業分野については、プレミアム商品券事業補助金や久山の田園風景を維持する取り組みとして、若手の農業者とのワークショップを開催し、令和5年度も継続してまいります。
財政面においては、「ふるさと応援寄附金」事業を積極的に展開し、例話3年度比1億1,500万円ほどの増を見込んでおり、基金積立も1億3,300万円ほど行います。

令和4年度は、町民の皆さまの安心・安全を第一に守りながら、コロナ禍であったからこそ、じっくりと計画を練り込みながら、久山町の魅力を生かした新たな種をまき、着実な一歩を踏み出せた年となりました。

令和5年度は、引き続き、町民の皆さまの物価高騰に係る対策を行いながら、本町独自のまちづくりを加速する大切な年になると考えております。小さな町である本町が勢いよく変化に挑戦する姿は、共感を生み、マスコミだけではなく、産官学を含め、広くその動向が注目されています。
これからは今まで以上に、「小さな町」であることを最大限に生かすことが必要不可欠であり、「小さな町だからこそこんなところも進んでいる」、「こんなこともできる」、町民の皆さまが「夢や希望」を抱くまちづくりを進め、幸福度(Well being)の高い町を目指してまいります。

それでは、令和5年度予算編成につきましてご説明させていただきます。
令和5年度久山町一般会計予算は、歳入歳出予算の総額を59億6,800万円とし、令和4年度より1億8,700万円、約3.2%の増となっております。歳入におきましては、固定資産税や町民税の税収は若干復調の兆しを見せており、毎年増加しているふるさと応援寄附金は、令和5年度も増額で計上しています。

一方、コロナ禍からの経済の先行きや物価高騰などの影響も懸念され、いまだ不透明な状況であり、町税を見ましても、コロナ禍前の令和元年度当初予算時まではまだ戻っておりません。そのため、町民の皆さまの安心・安全につながるサービスを行いながら、国の交付金等の活用を加え、町の基金も活用しながら、自治体DXの推進、物価高騰対策および投資的事業を同時に行っていく予算編成となりました。

令和5年度は、第4次総合計画の2年目の年であり、将来像の実現に向けて、それぞれの分野ごとに事業を進めてまいります。

『健康福祉分野』では、「一斉健診」をはじめ、「子育てつながるプロジェクト」を今年度引き続き実施します。

「シニアチャレンジ応援事業」では、映画やカラオケなど高齢者が楽しむための新たな外出を支援します。

また、物価高騰支援として、令和4年度に引き続き、ごみ袋を全世帯への配布や持続的な子育て支援策として、令和6年度実施を目指して、子ども医療費助成の見直しについて検討を行います。

『教育の分野』では、中学生を中心とした「久山中学校図書館リニューアルプロジェクト」のほか、山田小学校大規模改修事業をはじめとした「教育施設改修事業」を実施し、引き続き、教育環境の整備を進めます。
また、「プログラミング教育アプリを活用した新たな授業」を小・中学校でも開始します。

『産業分野』では、電子版を含むプレミアム商品券事業補助金や電子決済導入支援金など、町独自の「キャッシュレス導入支援」を行います。

また、令和4年度に引き続き、物価高騰支援として効果的だった「水稲農業物価高騰対策支援」を行います。

『暮らしの分野』では、「学校橋の復旧工事」をはじめ、「上山田~猪野線」歩車道境界ブロック設置工事、赤坂工業団地2号線舗装改修工事など、「道路橋梁等の整備」を行います。

『地域経営の分野』では、自治体DXを推進し、住民の皆さまの利便性を図るため、「議会動画配信事業」、公共施設の利用予約や申請をオンラインで行うことができる「システム導入」を行います。

このように、住環境整備だけではなく、新規技術を活用しながら、先行投資を行い、暮らしの豊かさの「実感」につなげてまいります。

以上が令和5年度実施する分野ごとの主な事業です。
今後も目まぐるしく社会情勢が変化していくことは予想されていますが、それを乗り越えていくためには、役所において柔軟に対応していくことも重要です。課題によっては部署を超えて連携して解決に努め、効果的で効率的な行政運営と人材育成を同時に進めてまいります。

結びに、近年、社会課題としてだけではなく、経済や企業活動にまで、そのつながりが深まっている「脱炭素」についてお話しをします。自然豊かで環境大切にしてきた本町にとっては、大きな優位性であり、今後の第1次産業の維持にもつながる可能性を持った分野です。そのため、本町では昨年3月に、「カーボンネガティブ&ネイチャーポジティブ」を宣言し、早世桐の植樹や役場ロビーの緑化、町民の皆さまをはじめ、企業・団体の皆さまと一緒に、さまざまな取り組みを展開してまいりました。そしてこの取り組みが、一般社団法人地域温暖化防止全国ネット(JNCCA)やセブンイレブン記念財団が共催し、環境省、文部科学省も後援している、第13回「脱炭素チャレンジカップ」にて、「文部科学大臣賞(社会活動分野)」を受賞いたしました。この大会は、全国の企業、自治体、市民団体、学校など、199団体の応募の中から、本町は、自治体で唯一のファイナリストとしてノミネートとされ、脱炭素はもとより、多くのステークホルダーとの関わりと社会的な意義の深さについて評価をいただきました。本町の「カーボンネガティブ&ネイチャーポジティブ」の取り組みは、まさに「人づくり」を脱炭素の柱として関わる、一人一人が楽しみながら進めていくことを大切にしてきました。
今回の受賞は、環境、脱炭素という限られた分野における取り組みのように感じますが、実は「まちづくり」そのものだと認識しています。住民・行政・企業が役割分担を行い、社会や地域をよくすることを目的に、ともに考え行動していくこと。それがまちづくりの原点であり、エネルギーでもあるからです。
今回の受賞を機に、今後も「共感」でつながる元気なまちづくりを目指して邁進(まいしん)してまいる所存です。引き続き、町民の皆さまには一層のご支援、ご協力をよろしくお願い申し上げます。

    
令和5年4月1日
久山町長 西村 勝
 

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