施政方針
桜の花が鮮やかに彩る中、新年度が始まりました。
春の息吹が私たちの心を躍らせるように、私たちの社会もまた新たな活力を得て、未来に向かって力強く歩んでいくことを心より願っています。
さて、現在、世界では、地政学的な緊張の高まりや、アメリカをはじめ、政治の不安定化により、まだまだ混乱が続くことが予測されています。また、国内においては、少子高齢化がますます加速する中で、人手不足や円安による物価高騰が続いており、その影響は「米」の急激な価格上昇等にもつながり、私たちの「食」にも広がっています。
そのような中、令和6年度を振り返ってみますと、長く続いたコロナ禍の影響が少なくなり、社会・経済全般に回復の兆しを感じることができた1年となりました。しかしながら、全国各地では、今年も大きな地震や豪雨災害が発生し、改めて災害への備えの大切さを痛感させられた年でもありました。本町においても、物価高騰対策や災害等への備えを含めた町民の皆さまの暮らしの安心安全の確保を行いながら、第4次総合計画(令和4年3月策定)に掲げた将来像「だれもが生き生きと暮らせる『健康田園都市』の実現」に向けて着実な成果を残し、次年度につながる1年となりました。
ここで、令和6年度の主な事業を振り返ります。令和6年度は、引き続き物価高騰対策を図りながら、暮らしの豊かさを実感できる「つながり」づくりに向けた事業に取り組んできました。
物価高騰対策としては、ごみ袋の配布や給食費の支援、高校生の通学定期補助を行い、水稲農業物価高騰対策支援金は、昨年度よりも補助率を上げ、物価高騰分に当たる30%を支援しました。また、災害等への備えとしては、町民の皆さまと連携した防災訓練を初めて実施しました。
「健康福祉」分野については、みんなでつくる公園づくりが3年目を迎え、実施設計と公園整備後のソフト面での実証および方針の策定もあわせて完了しました。昨年度スタートしたシニアチャレンジ応援事業では、70歳以上のシニアの皆さまが町内の飲食店でも使用できるようにし、外出支援だけではなく、商工振興にも大きく寄与する事業となりました。
「教育」の分野については、中学生を中心とした久山中学校図書館リニューアル事業が完成を迎えました。また、山田小学校体育館の内部改修およびLED化工事が完了し、久山会館2階、中学校体育館および町民体育センターの空調整備工事も完了しました。
一般会計における財政の状況としては、ふるさと応援寄附金の返礼品の充実や広報等に力を入れたことで前年度から約5,200万円の歳入増額を見込んでおり、各種基金には2億8,000万円程度の積み立てを行う予定です。
第4次久山町総合計画の4年目を迎える令和7年度は、引き続き、町の将来像の実現に向けて、各分野における取り組みを確実に進め、効率的な経営を行ってまいります。また、人や物の「つながり」を深めながら、「住む」「食べる」「学ぶ」「働く」「遊ぶ」という暮らしの5つの要素を軸に、町の資源である自然の恵みの好循環を少しずつ形にしていくことで、「久山町だからできる豊かな暮らし」の実現を推進し、町民の皆さんの幸福度(Well-being)をさらに高めていく所存です。
それらを踏まえ、令和7年度の当初予算として、一般会計予算は、歳入歳出予算の総額をそれぞれ69億円とし、令和6年度より5億2,300万円、8.2%の増額となっています。
歳入においては、固定資産税や町民税などの税収において若干の増額を見込んでおり、ふるさと応援寄附金も増額で計上しています。国・県支出金等の活用に加え、町の基金も活用しながら、物価高騰対策および投資的事業を同時に展開していきます。
次に、令和7年度の主な事業を総合計画に挙げる分野ごとにご紹介します。
物価高騰対策としては、引き続き、ごみ袋の全世帯配布および水稲農業物価高騰対策支援を実施するとともに、学校給食費の値上げ分の1食当たり60円の補助などを行います。
「健康福祉」分野では、子育てつながるプロジェクト事業の体制づくりや、シニアチャレンジ応援事業の利用促進、シニアスマイル講演会の実施等を引き続き行います。新規事業として、子ども医療費の対象を高校生まで拡大します。これにより、高校生までひと月の医療費はワンコイン500円が上限となります。さらに、ハード整備として、今年度から行っているヘルスC&Cセンターの空調設備改修事業、ひさやま保育園杜の郷の空調改修工事を行います。
「教育」分野では、山田小学校体育館の整備、久原小学校体育館および猪野柔剣道場に空調整備を行います。新規事業としては、首羅山遺跡ガイダンス施設整備のための施設実施設計および用地購入を行います。さらに、中学生を対象とした楽しみながら数学を学ぶ数学塾の開講や、中高生の学習場所の確保および支援を目的とした久山スタディルームを設置します。そして、社会で活躍する人材づくりの一環として小学生を対象としたキャリア教育応援事業を実施します。
「産業」分野では、プレミアム付き商品券事業や電子決済導入支援事業などを引き続き行います。また、新規事業として、循環型農業を目指し、バイオ炭を活用した米作りの実証や認定農業者を対象としたスマート農業導入支援補助金の創設、地産地消を目指した広報チラシの作成を行います。さらに、町内の建築物等を含め町内産の木材の活用を推進し、林業振興にも力を同じく入れてまいります。
「 暮らし」分野では、橋本~古賀ノ脇線、前田~月見ケ丘線、西~清水線の舗装打ち替え工事等、道路橋梁等の整備や公園遊具の設置を引き続き行います。また、全町的な防災訓練を引き続き実施いたします。
「地域経営」分野では、自治体DXを加速させ、住民の皆さまの利便性の向上を図るとともに、職員の人材育成の強化を図ります。また、子ども会育成会、シニアクラブを対象とした新たな補助制度を新設し、町民相互のつながりをつくる機会を創出していきます。
以上が、令和7年度の分野ごとの主な事業です。今年度も社会情勢や経済動向を注視し、必要な政策については柔軟に対応してまいります。
最後になりますが、私たちの暮らすこの久山町は、来年9月に町制施行70年という節目を迎えます。今の久山町の魅力である豊かな自然や温かい人のつながり、地域資源は、先人たちが培ってきた努力の結果であり、今を暮らす私たちへのギフトでもあります。そして、今を生きる私たちもまた、未来に久山で暮らす人たちに向けて、そのギフト伝えていかなければなりません。
そのためには、限られた町の資源を守り、活かし、発展させることで、新たな「国土・社会・人間」の3つの健康づくりを構築していく必要があります。昨年度策定した、第3期久山町まち・ひと・しごと創生総合戦略を中心に、久山町だからできる戦略を展開することで、私たち世代からの未来へのギフト届けられるまちづくりに邁進してまいる所存です。
引き続き、皆さまのご支援とご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
令和7年4月
久山町長 西村 勝
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更新日:2025年04月01日